今年もサンタを襲撃した。

遠くで眠る大事な人にすてきな夢を見せてくださいって頼んだら、
君はもう大人なんだから自分のできることをしなさい、だって。

サンタは説教もするんですかって抵抗してみると、
君、これは助言だよ、とサンタ。
相変わらず理屈っぽいやつ。

2010年のクリスマス、
サンタはサンタなりに親切で、
私にオカリナを吹く夢を見せる。

覚えてはいられない夢の中のメロディ、
夢から夢を渡って、
ずっと遠くまで届きますように。

グループフルーツの月、マシュマロの雪、
ふかふかのうさぎが樹上に眠る。

優しい風が枝を揺らせば、
眠ったままにあの子も揺れる。

ゆらゆら、ゆらゆら、夢を見ながら。

ゆらゆら、ゆらゆら、夢を見ながら。
夕暮れ夕焼け帰り道、優しい風と終わる夏。

言葉ではたどりつかない遠い場所で、またひとつひび割れる。

お守りみたいに抱きしめる優しい歌。

いつも人生の傍にと、また今日もそっと願った。
夜明けが随分遅くなった。

朝を待ちきれないネバーランドの子供たちが、
デッキブラシを持ちだして夜を洗い流す。

だけど私は海のこちら側で、夜が短すぎるね、とつぶやく。

あの子はちゃんとどんぐりのペンダントをして飛んでいっただろうか?
愛しい人からの贈り物を胸に秘めて、白い鳥のように。

タイムマシン

2010年8月7日
夢を見た。

ライブの終わったざわついたフロア。
先輩に再会。彼女は妊娠している。
私は未来から来たから、その子が無事生まれて育つって知ってますよ、
と言いたいけど言ってはいけない。
それでいつものように軽く手に触れて別れる。

でも彼女は妊娠したことはないし、行ったことのない場所だし、
もしかしたらあれは未来で私だけ過去から来ていて、
みんなそれを知っていたのかも。

伝えることのできない思いをそれぞれの胸に秘めて、
それぞれの時間を生きる。
今が未来でも、未来が過去になっても。すべてが夢でも。

誰かが、キーボード明日持ってくよ、と言った。

トモダチの詩 ver.4

2010年8月5日
どこにもいないとわかってるのに
心の中で呼びかける
いまどこで何をしてるの
どんなところ
寒くはない?

当たり前に過ぎ去っていった
こどものように遊んだ夏
束の間重なる歌声に
すべて 託して
笑った日々

出会った校舎は もう
建て替えられて面影もない
伝言を残したノート
「ごめん 先に行ってるね」

どこにもいないとわかってるのに
心の中で呼びかける
いまどこで何をしてるの
今度は いつ
会えるのかな

追悼テレビ

2010年8月4日
家族で車に乗っている。親戚で集まって食事をした帰りだ。家族といるのが息苦しくなって、適当な理由をつけて車を降りる。曖昧な笑顔と口実。ビル街を少し歩く。人気はない。少し冴えた空気に、白っぽいビル、白い月が照らしている。残業を終えた三人のサラリーマンが車庫のシャッターを下ろしている。自信のない道を迂回しながら歩き続ける。やがて海岸に出る。テレビがあって、あの子の追悼番組が流れている。隣にあの子がいる。手をとって泣き続けた。温かくも冷たくもない、手。まるで悪くはなかったというように番組は続く。そんなのは嘘だ。端役で出演したいくつかの映画、バラエティ番組、思うほど売れなかった音楽活動。嘘ばかりだ。そんなことひとつも起きなかった。海辺でテレビが弔うのは、あり得た、けれど奪われた可能性。そういう日々を、待ちながら、叶ったり叶わなかったりしながら、過ごすはずだったのに。もう何もない。こうして手を取っても、その手を額に押しあてても、何にもならない。弔うことさえ意味がない、泣くことも、夢を見ることも。夢よ覚めるな。夢よ覚めるな。夢よ覚めるな。必死で願ったけれど、やっぱり夢は終わった。

the other side of life

2010年8月3日
こんな夢を見た。

友人とテラスから庭を眺めている。と、爆発が起き、ナイフがきらめく。カフカス地方独立のテロだ。誰に言われるでもなくそう確信する。彼女は私の手をひいて、板張りのカウンターのある別の店に連れていく。テラスから飲みさしのグラスが運ばれてくる。手回しの良さに頷く。彼女はこわばった表情で前を見つめている。大事な人を亡くしたのだ。そうか、ここはもうひとつの世界だと、私は漠然と思う。こちら側では彼女が生きている。伴侶と隔てられたまま。かける言葉を見つけられずに、彼女の横顔を眺めている。色の白い、昔よりおとなびた顔。何を言えばよかったのだろう。すぐ隣にいたのに。喪失が刻まれた、あの頑なな視線の先が、どうしても見えなかった。

いつか目が覚める。そう、何もしてあげることができない。それでももう少し一緒にいたかった。泣いていませんように。また会いにいけますように。
でたらめな夢を見てた
めちゃくちゃな計画ばかり
これじゃムリだよって誰かが言ったけど
軽く手を上げて

待ち合わせた駅の出口
うまく落ちあえなくても
人の多すぎる東京って街で
出会えてよかった

何も悔やまない 何も惜しまない
苦笑まじりの騒がしい日々
約束の場所 願いの彼方
優しい声は今でも聞こえてる
「大丈夫、間に合うよ だからほら、あと少し」

宛先のない手紙を
君は届けてくれた
できないことなんて何もないみたいに
朝焼けを待った

準備も許されずに
運命はドアを叩く
放り出されたここが未来と
とまどうときにも

夜の帳 朝が剥がすまで
数えよう 追憶の数

伝わらない声伝えたくて
震える手書きとめた きれぎれのメロディ

何も悔やまない 何も惜しまない
開け放された扉を抜けて
約束の場所 願いの彼方
揺れる想いはひとつも変わらずに
それぞれの地図の上 消えない明かりを灯す

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